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タンバリンでできたオーロラ
第32章 頭取 権俵金蔵
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権俵金蔵は、その名とは裏腹に美しい男だった。
ただし、美しいといってもそれは外見のことだ。
年の頃は、頭取という地位からして50代ぐらいなのだろうが、パッと見30代、いや下手をすると……スーツではなく、カジュアルな普段着でも着ていれば20代後半ぐらいの若者にも見える。
しっとりとした艶のある髪を無造作に整えただけのようなヘアスタイル。それでいて、銀行の頭取室の高級感のある調度類と馴染み切ったその佇まい。
強い意志の力を感じさせる目、温かみのある薄い笑みを浮かべながらも、油断のならない緊張感を相手に与えるその表情、立ち居振る舞い。
彼は一種のカリスマを備えていた。
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