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タンバリンでできたオーロラ
第32章 頭取 権俵金蔵

そんな彼と応接ソファに向き合って座る美木本はというと、こちらは名前とは裏腹に冴えない、うだつのあがらない風采をしていた。

だらしなく出っ張った中年腹、薄くなりかけた頭髪。外出時はハゲ隠しで似合わぬハンチング帽を被っているのだが、今はそれは鞄の中に入れており、スダレた頭をペコペコと権俵金蔵に向かって何度も下げている。

「その……それで、ご融資の件を頭取様の一存でなんとかしていただけると伺ったものですから……大変感謝しておりまして……」

へつらいの笑みを顔に張り付け、先ほどからダラダラと垂れる汗を黄染みた男もののハンケチで何度もぬぐう。

彼はITベンチャー系の企業の社長だった。

若い頃は、これでも業界にこの人ありと言われた存在だった。
雑誌のインタビュウも何度も受けたことがある。

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