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タンバリンでできたオーロラ
第36章 セキュリティ・システム
そういうわけで、私が一嗣の気持ちを確かめる方法はない。

私のことをどう思っているのか、一嗣が自ら打ち明けてくれるのを待つか、そう仕向ける以外にない。

ああ、本当に。人の心を完全に読み取る技術を得ても、結局私たちは、昔とそう変わらない生活を送っている。
これは読心機が世に出る前から存在する昔ながらのセキュリティ・システムだ。

相手が自分と同じ気持ちかどうかを確かめるには、自分の気持ちを打ち明けてみせるのが最も有効な手段だ。

自分の気持ちは相手の心を開くパスワードのようなものだ。

けれども、パスワードが合わなかったときのダメージは深刻。だから、みんな臆病になる。傷つきたくない。そんなセキュリティ・システムだ。要らない。

誰がそんなシステムを作り上げたのか。いつから私たち人類はこんな糞システムを採用したのか。

だから、私は一嗣の考案した新たなセキュリティ・システム「集合的無意識防衛のための暗証機構設置計画」のキー・パーソンに志願した。


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