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タンバリンでできたオーロラ
第39章 ノート・アンド・クロッシーズ
ターン1

転送された先は、およそ3メートル四方の小さな白い部屋だった。出入り口が見当たらないので、部屋というより「空間」と呼んだほうがしっくりくるかもしれない。

その「空間」の床は、タテヨコに走るラインによって9マスの正方形に等分されていた。

「ノート・アンド・クロッシーズ」

転送直前に裁定者の告げたゲーム名が頭の中に甦る。日本語で言えば、なんのことはない――ただの〇×ゲームのこと。〇か×か、交互に書き込むマークをタテヨコ斜めいずれでも、先に一列揃えた方が勝つというゲーム。
OK、この床面がゲームボードということね。そして、この上に出現したということは、私がゲームの駒ということかしら。人間〇×ゲーム?

そこまで推測して、それにしてはおかしなことがあると気づいた。

私が立っているのは部屋の隅。

つまり、〇×ゲームでいう角のマスのひとつだけれど、私は自分で望んでこのマスに現れたわけではないということだ。マス目を選べないなら、一体どうやって勝負をするのか――そんな疑問を口にしようとして、次なる違和感に気が付いた。

口が――利けない!


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