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タンバリンでできたオーロラ
第39章 ノート・アンド・クロッシーズ
猿轡を噛まされている。

それだけではない。両の手首には枷がつけられ、腕は体の前方に揃えて垂らすしかない状態となっている。目の前の空間に目を奪われて気付くのが遅れたが、これは――転送と同時に仕込まれたこの異様な拘束に、改めてこれがデスゲームなのだと思い知らされる。

けれど、怖がったりなんかしてやるものか。私は口の中の邪魔くさいボールにグッと歯を立てた。負けて死ぬのは断じて私じゃない。。

そして、奪われているのは手と口の自由だけではなかった。私は立ち尽くしたまま、その場から一歩も動けなかった。身がすくんでいるわけでもない、縛られているわけでもない、それなのに凍り付いたように足が踏み出せない。その場にしゃがみ込むこともできなかった。苦痛はない。ただ動けない。どうも、魔法のような力で身動きを封じられているらしい。

これもおかしなことだ。こんな風に超自然的な力で自由を奪えるのなら、どうして手枷や口枷をつける必要があるというのだろう。と、そんな疑問が頭に浮かんだとき、隣のマスの何もない空間に、なんの前触れもなく新たな人物が出現し、その姿に私は息を吞んだ。

それは、何から何まで私とそっくりな――私自身だったのだ。


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