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新月
第9章 違和感
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——ドキドキドキドキ——。
段々と、美月の部屋に近づいていく。
(あぁ、わたしはちゃんとした所作で、美月様に挨拶が出来るのかしら?)
昂る気持ちを抑えながら、美月の部屋に行き至る。
ふぅ。
と、息を吐いてから、
「美月さま。おはようございます。
朝食を持ってまいりました。」
いつもの様に、朝の挨拶をした。
そして、何事もなかったように、いつもと変わらず、
「どうぞ、入ってちょうだい。」
美月の声が、部屋の中から聞こえる。
「失礼します。」
チヨは美月の部屋の襖を開ける。
「おはよう、チヨさん。」
美月はチヨの方を向いて、にっこりと笑い、挨拶をした。
そう。
いつもと同じだ———。
チヨは、美月の笑顔に、
言葉に出来ない違和感を感じた。
いつもの美月の笑顔なのに、何か違う。
それはやはり、昨日の夜中の出来事がそうさせているのか、
また、チヨの思い違いかは、わからなかった。
チヨは、この日の美月の笑顔が心に引っかかったまま、
数日、過ごす羽目になる。
そう、もう一度、
美月の密事を聞いてしまうのだ……。
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