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新月
第2章 新しい主人
「チヨさん?」


美月は確認するように、首を横に傾げる。

長い黒髪が肩からサラリと落ちた—。


チヨはドキっと心臓が速まるのを感じた。


(今までこんな人、見たことない!!)


自分の頬が赤く染まっていることがよくわかる。


一人で胸を高鳴らせていると、藤木が
大きくない、しかし、よく耳に残る声でチヨにいった。


「チヨ坊、この子は美月といって、私の子だ。

しかし、訳あって表には出さず、奥屋敷にいるのだよ。

チヨ坊には、美月の話し相手になってほしい。」






——その日から、チヨは美月の身の回りの世話を受け持つことになった。






自身の不安を抱えながら……。
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