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第10章 蒼 eyes.1 葛藤の日々

　

ムカつく。

ムカつくけど……姉貴の幸せそうな顔を見るのは嫌いじゃない。


「良かったな？」


からかいを含めたニヤついた笑みで囁き、鎖骨の位置にある頭を軽くポンと叩くと赤みが更に増す頬。


「もう！　なに？！　その顔！」

「ははっ」


顔を真っ赤にして怒っても、威力はない。

そんな姿も可愛いとしか思えないんだから、俺は本当につくづく姉貴には敵わないと思う。


でも、これで良いんだよな。

俺は弟で、姉貴に彼氏が出来たならそれを見守るしかないんだから。

神谷という奴がどんな男かは知らないが……。

その時は、姉貴の幸せを心から祈っていた。