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狂い咲き
第4章 狂い咲き 4
 でも私は、早く彼と二人きりになりたくて、私のほうが先を急いでいた。

 あれほどの悪夢が待ち構えているとも知らずに。

 ペンションに着いても、彼は、なにも態度を変えなかった。

 ただ、着替えの入った鞄を取り出そうとすると、「後でいいよ」と言った。

「おいで」

 彼から手を差し伸べられ、私は一瞬、躊躇したが、ペンションの前に車は留められたわけだし、別に鞄なんて、いつでも取りに行けると疑わなかった。

 見上げるほど立派なペンションに私は息を飲んだ。

「案内するよ」

 私は、これから待ち受けている悪夢も知らず、室内に入ると驚きの声をもらした。
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