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狐面の男に 愛されまして
第2章 不審な男に 絡まれまして
ああ…また、嫌われる。
階段を下りた彼女が校舎裏に行くと、花壇の中には先程の声の主がいた。
「持ち物は、大切に扱おうね」
声からしてたぶん男。彼は花壇に散らばった筆箱の中身を拾っていた。
…いや、拾うというより
落ちたシャーペンやら消しゴムやらが、ぷかーっと浮いて勝手に彼の手に集まっていた。
また……まただ
あなたなんか、見たくもないのに。
「…はて、サチは言葉が話せないのかな」
暑苦しそうな長いマフラー。
忍者のイメージそっくりの服を着たその男は、首まですっぽりと覆ってしまう、白塗りの狐の面を被っていた。
「……、……おばけ」
いつも見ているおばけよりカタチは人に近いけれど…。
ああ、そう言えば
こうやってわたしに話しかけてきたおばけは、この人が初めてだ。