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狐面の男に 愛されまして
第3章 狐面の男に ひきとられまして
彼女は再び、口を閉ざした。
同じように黙ったシュウは、何かを考え込むように腕を組んだ。
チキンを何とか箸で切り分けて、彼女はそれを口に運んだ。
普通ならその空気の気まずさに、食欲など失せてもいいのだけれど…彼女は、ご飯を残すことが嫌いだった。
狐面を外さない彼は、食べる気配がない。
だから彼女は黙って食べた。
「……オイシイ」
横に座る忍者姿のおにーさんが、どんな気持ちで自分を見ているのかはわからない。
……でも、ご飯は、美味しかったから。
“ それにね、気が付いたの ”
女の子たちは、彼女と目を合わせなかったし
男の子たちに向けられるのは、好奇の目線でしかなかった彼女にとって
シュウが向ける仮面越しの目線は、ほどよく彼女の心に届いた。
“ だから落ち着くのかな… ”
普通の目線が欲しかった。
こんな風に、静かに自分を包んでくれる
そんな居場所が、欲しかったのだ。
──…