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狐面の男に 愛されまして
第4章 無知な自分は 騙されまして
行こうって…何処に?
(たのしい トコロ、みんな ニコニコ)
そんな所、ある筈ない。
(アルヨ アルヨ、ミンナ ともだちダモン)
「……」
(サチモ でしょー?)
「…友達ってさ…」
友達ってさ、なる
って決めて、なるものなの?
わたしとカワウソ君、いま会ったばかりだよね。
…なのにそんなに、友達、友達 言われても。
「行かないよ…わたしは」
(──…!)
行けるわけ…ないよ。
(ナン デ…)
コポ、コポ、コポ...
(いこう、サチ。さみしイ…ジャン)
「……?」
座る彼女の足元。
まるで湯が沸騰し始めたかのように、下から泡が浮かんでくる。
コポ...
次から次へと──。
「…えっ…な、に‥?」
(コワク ないヨ、おいで)
彼女は伸ばしていた脚を引いた。
コポコポ溢れる大量の泡が、あっという間に目の前に広がる。
(オイデ、オイデ)
逃げようと脚に力をいれた瞬間だ。
前の湯が急に渦巻き
ずるっと身体が引っ張られた。