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狐面の男に 愛されまして
第4章 無知な自分は 騙されまして
カワウソ君が悔しそうに鳴いた。
その悔しさを表すように、渦巻く湯は激しさを増している。
彼女は濡れた裸体をシュウに抱えられ、風呂の真ん中…提灯のすぐ隣に浮遊していた。
「森の小人達に聞かなかったのか。彼女は僕が連れてきた、大事な客人だと…」
(サチ ガ…!? オマエノ…!?)
「そうだ」
彼の声が、警告の意を込めて鋭さを含む。
「他の仲間にも伝えておけ。今度、サチに悪さをしたならば──」
(……!!)
「僕が直接、手をくだす」
(…わ、わかった ヨ…)
納得できない様子だが仕方なく返事をしたカワウソ君。その生き物は岩影から出てくると、きれいな弧を描いて湯に飛び込んだ。
暫くすると荒れていた水面が静かになり、元の風呂場に戻っていた。