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狐面の男に 愛されまして
第6章 かくかくしかじか 幸せでして
こっちの世界に、梅雨はない。
雨は時々、降るけれど…。
だから季節にそぐわぬ爽やかな風が、彼女の黒髪を靡かせているのだ。
「…嫌なことでもあるのかい?」
「……」
「学校のこと?」
「…うん」
近寄ってきたシュウに彼女は目を向けた。
──いくら…風が爽やかと言えど
その忍者服と、お面の二重武装
どうにかならないものなのですか。
「…今日、班決めがあるの」
「そうか…」
「嫌…だな」
今日は学校で、夏休みにある野外キャンプのグループ分けがある。
彼女はそれが憂鬱だった。
キャンプになんて元々行くつもりなかったのだが、シュウが行けと言ってくるのだ。