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狐面の男に 愛されまして
第6章 かくかくしかじか 幸せでして
行きたくない…
「……」
「堂々としていなさい。難しいだろうけど…彼等にちゃんと馴染むことも必要なんだ」
見た目からして浮きまくっているシュウさんに言われたくない。
「彼等だってサチを嫌っている訳じゃないだろう」
「…だって、気味悪いって」
「──…不思議だからそう言うんだよ。人間は、理由の説明できないものが大の苦手だからね。自分の視界に映るものしか信じたくないから」
視界、なんて…そんなもの
物に当たって跳ね返った可視光線が、眼球の中のレンズに投影されているにすぎないのに
そこにある世界しか、彼等には説明できないから。
「──…理科、苦手」
「ごめんごめん」
「……じゃあ、行ってきます」
ここで駄々をこねるわけにも行かないから、彼女は鞄を持って歩き出した。
道を覚えた彼女は、もう自分ひとりで学校まで通えるようになっていた。