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ネムリヒメ.
第23章 薔薇の刺、棘の鎖.
「っていうか、腹黒キャラはオレじゃないから」
「は…聖から充分引き継いでんだろ」
「一緒にすんな、ボケ!」
「口が減らねえガキだな」
望から減らず口を叩かれ、顔をひきつらせながらジャケットを脱ぎ捨てる雅
「あのな、こうやって邪魔してる時点で充分腹黒いんだよ」
「えー、邪魔とか意味わかんなーい♪」
望も口から舌先をペロッと出し、だいぶ汚れを気にしつつも倣うようにジャケットを脱ぎ捨てる
「つーか、オレの前に葵と会ってんだろうが。なんで葵とやんねぇんだよ!!」
「あー、ムリムリ♪葵くんになんて勝てっこないって。それに、今日はもう誰かサンを蹴り飛ばしたからいいって言ってたし」
「チッ…」
葵の野郎…
募る苛立ち
過る葵の姿は今の雅にとっては、穏やかさを欠かせるものでしかなかった
もっとも、怒りのバロメーターを望にMAXまで押し上げられた今の雅に穏やかさが残っているかどうかは別だが…
「でもその代わりに、ウィークポイント教えてもらったんだよね」
「……!?」
身軽になって腕をブンブン振り回す望
カラダを解す素振りを見せながら、雅の肩に触れる
と…
「お前のねっ♪」
「…っ!!」
その瞬間、雅の脇腹に激痛が走った
正しくは肋骨に、だ
「っ…て、めえ」
「あー、軽くジャブ当てただけなのにそんな痛むの!? 肋にひび入ってんじゃん♪」
「うるせぇよ…っ」
けして軽くはなかった望の拳での打撃に、雅の顔が苦痛に歪む