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ネムリヒメ.
第23章  薔薇の刺、棘の鎖.






「約束通り良いこと教えてあげるって言ってるの♪」

「………」

「どんなに見つからなくても、きっと趣味の悪いオトナの集いに巻き込まれて、輪姦されて売られちゃう!!…なーんてことにはなってないから大丈夫だよ」

「は……」


大丈夫だ、と!?

コイツいったいなにを言ってやがる

なにを根拠にモノを言っているんだ…


理解しがたい自信ありげな望の発言に、雅は耳を疑うばかりだ

すると、表情を強張らせたままの雅に望がズイッと顔を近づけて意味ありげに笑ってみせた


「きっとね、どこ捜しても見つからないなら姫、悪いヤツに誘拐されちゃったんだと思うよ♪」

「あ…!?」


思うよ♪って、なに言って…

つーか、惨事には巻き込まれてないのに、誘拐されたとか意味わかんねぇ

バカなのか、コイツは…あぁ、バカだろ


「ねぇ、あんなコトあったのにピンとこないの!?いるでしょ、ひとり…とんでもないのが」

「…!?」

「悪事に手を染めるどんなオトナよりも、ある意味ものすごーく趣味もタチも悪いのがさ…しかも、オレたちの身内に」

「ッ…!!」


望の導きによって、雅の頭のなかに浮かびあがるとある人物像


「さっきちょっと会ったんだよね、その変態に♪相変わらずの変態っぷりだったけど、姫が消えたならオレ的にビンゴかなぁ♪」

「それ、まさか…」


息をのむ雅に、自分の語る人物と彼の思い浮かべた人物が一致したと察した望は、残りのミルクティーを一気に飲み干すとサングラスを手に立ち上がる



「そっ、"カオルくん"♪」


「……!!」



望は絶句する雅に彼のネイビーブルーのジャケットを拾い投げた




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