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ネムリヒメ.
第24章  Get back.





それに、オレたちが自分を探すことをわかっていてキーを取りに彼女がカジノのプライベートルームに戻るなんてことは考え難いし、上からのそんな報告は一切ない


「っ…」


くっそ…

ならどこに…


焦りと不安と歯痒さに奥歯を噛み締め、やるせない溜め息が口をつく


すると突如、胸の内ポケットのなかの携帯が着信を告げ振動した

慌ててそれを確認する渚


…葵!?


画面に表示された

"ナギの心の友♡"…

突っ込みどころ満載

勿論、自分でそう登録したわけではないそんな文字の羅列を確認するいなや、直ぐ様長い指が画面を滑り彼からのコールを繋ぐ


「っ…どうした」


つーかコイツ、ちゃんと身動き取れてんだろうな

オンナに絡まれて足止めくらってねぇだろうな…


日頃の様子から葵がここをひとりで歩いている姿を見たことが無い故、どうしても想像すらできない渚は一抹の不安を過らせながら葵からの第一声を待つ

しかし皮肉にもそんな渚の不安は適中した

葵の声よりも先に聞こえてくるガヤガヤしたざわめき

さすがというか、案の定というか、そのざわめきを精製しているのはすべて女性の声だった


『ねぇー、誰にかけてるのー』

『…葵ってばぁ、聞いてるのぉ!?』


ざわめきのなかから時折はっきりと聞こえてくるオンナの甘えるような猫なで声

その声に思わず虫唾がはしって渚の顔が無意識にひきつる





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