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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
ひとまずそれはよしとして…いや、いいのか!?
まぁ…いいだろう
それどころではないのだ
今の問題は葵である
葵に関しては、女嫌いでうるさい雅のおかげでスイートに女性を連れ込むことはなかったが、一歩外へ出れば話は別だ
渚がそれを想像できないように、常に彼の両腕が空いていることはなく、邸に帰らないこともざらではなかった
むしろ、月のうちにいかほど彼の真っ赤なクロスフラッグの愛車がガレージに止まっていた夜があっただろうか
堂々と朝帰りをしない日は指折り数えて片手で充分間に合ってしまう程
何故、"オンナ殺し"の異名を持つオトコである
すれ違えば、その全員が振り返る
彼がひと度微笑めばそれだけでオンナが堕ちる
しかも、容姿だけではない
美容業界でもその技量できちんと名を馳せている
名実ともにイイオトコ
そんなモテオトコが毎日のようにカジノに入り浸りとくれば無論、葵目当てでカジノに訪れるの女性客も少ないはずがないだろう
文武両道!?
性活が…いや、生活が充実しまくり、色んな意味でやりくり上手の葵の器用さには良くも悪くも頭が下がる渚だったが、ここにきてのこの惨事
それは葵が突如始めた身辺整理の代償であることは間違いなく、それにまんまと巻き込まれた電話口の渚にも容易く察しがつくものだった
…のだが、これもこれで雅に続いてこんな時に、である
『ナギ、へ…ヘル、プ…』
「おい、葵!!用件がそれだったらただじゃおかねぇぞ。てめぇオンナはてめぇでなんとかしろ」
もみくちゃにされてるような葵の弱々しい声に返される渚の少々乱れた怒声