この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ネムリヒメ.
第24章 Get back.
とりあえずちょっとタバコを…って、ねぇし
再び無意識に突っ込んだポケットのなかで泳ぐ渚の手
そんなところで携帯が再び着信を告げて振動した
今度は聖か、雅か…
もしくは引っ掻き回すのが得意な望か…
「っ…!?」
ところが、画面に表示されたのは
"ナギの心の友♡"
…の、とても見覚えのある文字だった
そんなに助けて欲しいってか!?
てめぇのオンナはてめぇで何とかしろと言ったばかりだ
再び表れた思いがけないその文字に渚の口からとうとう溜め息が溢れ出す
あのクソオトコ…
一度封じ込めたカオスが再び暴れだす予感に一瞬電話に出るのをためらう渚
だが…
「………」
葵からきちんと用件を聞いてなかった思い出す
脱・チャラ男…
身辺整理が見事に裏目に出てこんな時に自分のオンナに埋もれているクソオトコとはいえ、いくらなんでも助けを求めるだけの電話をかけてくるバカオトコではない
画面に目を落としたままなんとなく引っ掛かりを覚えた渚は、葵からの着信を繋ぐことにする
「……んだよ、生きてんのか葵」
そのかわり、開口一番に迷いもなく口から飛び出していくのは言葉の槍である
とんでもなく冷たい声と心無い言葉だか、ここは渚の気持ちを酌んで仕方がないと許してもらいたい
本来なら魔王降臨寸前である
しかしここで自分が取り乱したらもとも子もないことを理解し、僅かな理性で冷静を保つ彼をむしろ誉めてやってほしいくらいだ