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ネムリヒメ.
第24章 Get back.
……………
「なぁ…」
「………」
「どうして来た…」
「ッ…」
下げられたブラインドの隙間から差し込む薄明かりをその顔に映し、静寂のなかに静かな声を響かせながら渚はゆっくりとその場で振り返えった
…あれから渚が再びひとりになることはなく、
笑顔で立ち去った知事の背を見送り、残された彼女を連れ込んだのは客室ではなく彼のオフィスの一角…
まるで尋問するような眼差しは、彼の自室である社長室で彼女に向けられていた
「今夜はダメだって…」
一歩、また一歩…
渚が革靴で床を鳴らすたびに一歩、また一歩…と春色のドレスの裾を揺らし後ずさる彼女の背中に部屋の壁が迫る
「…言っただろ」
「……!!」
トン…と音をたて、壁に手をつく渚
背中に触れた壁の冷たく硬い感触に彼女が身を竦めたところで、細い顎に添えられる彼の右手
視線を絡めながらその手をそっと持ち上げるとダークブラウンの髪が甘い香りを漂わせてハラリと舞う
「ほら…オレに無理矢理黙らされる前に言えよ。それとも…」
「ッ…」
「言うこと聞けねぇワガママなお嬢様は無理矢理静かにさせられるのがご所望か!?」
「そん、な…っ…」
切れ長の目を妖しく光らせ、クッと喉を鳴らす渚の姿はただただ妖美で美しく、見る者を魅せ、惑わせては酔わせるものだった