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ネムリヒメ.
第24章  Get back.





わざとらしく時間をかけ唇をなぞる指…

長い指先に控えめに乗せられたグロスが削ぎとられ、裸にされた薄い粘膜に渚の吐息が吹きかかる

もはや追い詰められた彼女には、父親と一緒にいた時の面影などはもうどこにもなかった

渚の濃妖な空気に煽られ眉尻は下がり、弄ばれる唇はだらしなく開いたままだ

そんな彼女を前に、酷薄の笑みを唇に乗せる渚の表情は、挑発するようにも嘲るようにも見えるが、ゾクゾクするほど美しい

しかしそこから彼の感情は読み取れなかった


「なぁ、若葉(わかば)…

言えよ。お前に優しいこと言ってやれるのも時間の問題だ」

「ッ…そんな事、言わな…で」


彼女に問いかける渚の声は色気を含んだ甘い声だった

その分、突き放されるような言葉がより冷たく彼女の耳に届いていた


「本当は…ダメだ、ってわかってたの」


そんな渚にすがり付くような彼女の小さな声…


「…なら、なぜ来た。はっきり言うが、今、お前に構ってる時間はねぇ」

「っ…でもっ!!」


胸が張り裂けそうと言わんばかりの声を振り絞り、渚をまっすぐ見上げた彼女の瞳が大きく揺れる


「でも…会いたかったの。ずっと…ずっと会えてなかったから…」

「………」


一旦静かに睫毛を伏せた彼女が今一度 渚の瞳を捉える


「ッ…だから、どうしても会いたくて…っ!!」

「っ………」





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