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淫らデッサンに疼く人妻
第3章 近崎絵画教室
「ここだよ」
 とあるビルの前で、美雪が立ち止まる。
「ここの2階が、そうなんだ」
 ビルは8階建てのようだ。
 美雪が言う通り、入り口を入ってすぐのところにあるボードに目を遣ると、2階のところに「近崎絵画教室」と書かれている。
「所長の近崎(ちかざき)さん、すごく良い人だよ。会ってみるとすぐ分かると思うけどね」
 いつも通り屈託のない笑顔でそう言うと、美雪は建物内に入り、茜を連れてエレベーター前まで歩いていった。



「近崎所長~。来ましたよ~」
 ノック後、元気に言いながら中に入る美雪に続き、茜も入室した。
 そこは事務室とみえる小さな部屋で、真ん中のデスクでパソコンのキーボードを叩いている男性が一人、こちら向きで座っていた。
 その真向かいに1つだけ椅子が用意されている他には椅子もなく、室内に他の人の姿は見受けられない。
 近崎は、茜や美雪と同じくらいの年恰好にみえた。
 なかなかのイケメンであり、髪は爽やかな短髪だ。
 また、体つきはがっしりしており、こういうお仕事をされているにも関わらず、意外と体育会系かもしれないという印象も受ける。
 近崎が顔をこちらへ向けるより早く、茜は挨拶と自己紹介をした。
「初めまして。京極茜と申します」
「初めまして。こちらの所長をやらせていただいている近崎です」
 柔和な表情で近崎も挨拶を返す。
「茜は私の友達でして、モデルのお仕事に興味がちょーっとだけ湧いたらしくて、説明を聞きたいということで、お連れしました~」
「おお! それはありがたいことです。喜んでご説明を……」
「ちょっと待った、所長! 私のお給料を先に~!」
 おどけつつ、近崎の言葉を遮る美雪。
 近崎は苦笑した。
「ああ、すみません。えっと、美雪さんのお給料袋は、と……。これだ! 今月もお疲れ様でした。またよろしくお願いいたしますよ」
 美雪は心から嬉しそうな様子で、「もっちろん!」と叫ぶと、愛おしそうに給料袋を胸に抱きしめた。
「でーはでは、私も茜と一緒に説明を聞きまーす。茜の付き添いも兼ねて!」
「了解しました。それでは、早速ご説明させていただきますね。呼びやすいので、茜さんと呼んでもかまいませんか?」
 近崎に尋ねられ、茜は「ええ、構いません」と答える。
 すると、近崎が言葉を続けた。


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