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淫らデッサンに疼く人妻
第3章 近崎絵画教室
「ヌードデッサンはデッサンの基本なんですよ。いきなり着衣姿を描こうとすると、必ず失敗いたします。まず、ヌードデッサンにより、人の骨格など、肉体構造をしっかり頭に叩き込むことが重要なんですよ。そして、基本でありながら、決して単純ではなく、奥深い。そういうものです。また、人間の裸をいやらしいものではなく、美しいものなんだということを発見できることも、ヌードデッサンの大きな魅力かと思っております。概要は大体この辺にしておきまして……」
 立ち上がって説明してくれている近崎は、ここで一度言葉を切った。
 そして、しばし考えてから、続ける。
「次に、茜さんにご興味を持っていただいた、モデルさん側のことについて話を移しますね。茜さんはどの程度ご興味をお持ちですか?」
「程度と問われますと、なかなかお答えしにくいのですが……。やはり、その……恥ずかしさがすごくありまして。それで、まずお話だけでも伺おうかと……」
「最初はそうおっしゃる方が結構いらっしゃいますよ」
 近崎は頷きながら言う。
「緊張したり、恥ずかしがったりされる方も多いんです。でも、それは最初だけです。ほとんどの方は、1~2度経験されると、冷静にこなせるようになったとおっしゃってます。要は、慣れですね。今、こうして私の口から話させていただいても、あまり説得力はないかもしれませんから、ここは一つ、モデルの先輩である美雪さんのご意見を伺いましょう」
「え? 私?」
 茜の付き添いという意識しか持っていなかった美雪は、突然話が自分の方へ向いて驚いた。


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