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淫らデッサンに疼く人妻
第3章 近崎絵画教室
「ちなみに、私はこういう作品を描いております」
 近崎はそう言うと事務室奥にある棚から、何やら長方形の紙を数枚取り出すと、茜と美雪に1枚ずつ手渡した。
 茜が見てみると、それは絵葉書で、裏面に近崎が描いたとみられる風景画が描かれている。
 その絵は、深い森の中にある湖を描いたもののようで、水色と緑の色彩が目に鮮やかだった。
 湖には白い鳥が浮かんでおり、良いアクセントになっている。
「うわ~、素敵!」
 思わず茜が大きな声で言った。
「たしかに、綺麗! 所長~、やるじゃん!」
 美雪もそう言い、近崎に目を向ける。
「ははは、大したものではございませんが、記念に贈呈いたしますよ」
「私の場合、お給料を受け取りに来た記念?」
 おどけて聞く美雪に、近崎はおかしそうに笑って、手を振る。
「もちろん、そうじゃなくて、お友達の茜さんを連れてきてくださった記念に決まってますよ」
「ほ、ほんとにこちらの絵葉書、いただいてもいいんですか?」
 茜が聞く。
「ええ。何枚もございますし、絵自体も凡庸で、全く価値などない代物なのですが、それでもよろしければ」
「そ、そんなことないです! すごく素敵です! いただきますね」
 茜はそう言うと、絵葉書を大事そうにバッグにしまった。
「茜、すっごくテンション上がってきたじゃん! こりゃ、いい兆候だ。一緒にモデルになれる日は近い……かもね!」
「ええ、是非ご検討ください」
 そう言って頭を下げる近崎。
「じゃあ、そろそろ帰ろっか。所長、説明終わりでしょ?」
 美雪が尋ねる。
「はい、ご説明はこれにて終了とさせていただきます。茜さん、是非ご検討のほど、よろしくお願いいたしますね。茜さんは実に素晴らしいプロポーションをお持ちだと、服の上から拝見するだけで分かります。きっと素敵なモデルさんになっていただけると確信しておりますので、ご応募いただけると幸甚の至りです」
「あ……ありがとうございます。じっくり検討させていただきますね」
 照れながら、近崎がそうしたように、自分を頭を下げる茜。
 こうして、会合は終了し、三人は口々に挨拶を交わした後、解散となった。
 茜と美雪は、教室を後にして、美雪の家へと向かう。
 おしゃべりをするために。


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