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淫らデッサンに疼く人妻
第4章 美雪宅にて
美雪の家のリビングにて、茜と美雪は再び語り合った。
話題はもちろん、デッサンモデルに関することが中心だ。
「どう? 興味の方は」
 美雪が単刀直入に尋ねる。
「うん、少しだけ」
「まだ、少しか~い!」
 笑って大げさに身体を後ろに倒す美雪。
「ねぇ、美雪。さっき、近崎さんの前で裸になってたけど……ほんとに恥ずかしくなかった?」
「いや、恥ずかしいわけないでしょうが。私にとってはもう、裸になるということは慣れっこだからね。まぁ、じろじろといやらしい視線を向けてくる変態の前なら、虫酸が走るけども! でも、所長がそんな人じゃないってこと、茜も分かったでしょ?」
「う、うん……それはね。でも、実際には、数多くの生徒さんの前で脱ぐわけでしょ?」
「生徒さんだって、真面目な人ばっかだよ~。さっきも話したけど、終了後に話し合うのがほんと楽しみになるくらいにね。変な人なんか、一人も見たことないなぁ」
「そ、そうなんだ……」
 茜の心は、ほんの僅かずつではあるが、応募に傾きつつあるようだった。
 しかし、美雪はそれ以上、強引に勧めようとはしない。
 それはきっと美雪が自分のことを大切な友達だと思ってくれているからだろう、と茜は考える。
 意に反してまで、無理やり勧めるようなことはしたくないのではないか、と。
 茜は、近崎の絵葉書へと話題を移した。
「近崎さん、風景画も描かれているんだね」
「画家だから当然っしょ! 絵を見れば分かる通り、超絶に上手いんだよ。人物画も同じくらいにね」
「そうなんだ」
「今度、また一緒に教室へお邪魔しようよ。絵を見せてもらいにね! 私はモデルのために普段通ってるけど、モデルが終わってディスカッションも終えると、もう疲れきっちゃってるから。なかなか、じっくり見せてもらう機会がなくてねぇ。ああ、自分を描いてもらった作品は、見せてもらうけど、大方生徒さんのばっかりだし」
「じゃあ、是非今度また連れていってね」
 茜は少し楽しみになってきた。
「もっちろん! 茜って、来週月曜は予定空いてる? また教室に行ってみない? たしかその日の午前は、今日みたいに、所長も暇な日だったはず」
 美雪は行動も提案も、何もかもが素早い。
 いつものことだが。


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