この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あい、見えます。
第4章 見落とさないで

「大丈夫なの? 昨日、忙しそうだったけど」
「ん? あぁ、昨日ね。何かたまたまカード忘れた人と、延滞してた本を返しに来た人とって重なって、ちょっと手間がかかってたの。だから、矢崎さんが配架から戻ってきた時に、遥のフォローを、お願いしただけ」

今日は平和、と告げる薫の声は穏やかで、平日の昼間らしい落ち着きがあった。

「だから気にしないで? ほら、お昼食べながらでいいから」

明るい声に促されて、小さく笑った遥が、おにぎりのラップを剥がし始める。
簡単な料理は作れるという遥の膝の上には、今日も、茹でたブロッコリー、プチトマト、アスパラの豚肉巻きが入ったランチボックスが置かれている。
彩りも鮮やかな、そのお弁当は、目が見えない彼女が作ったものには思えない。

(私もコンビニ弁当は卒業しないと)

そんなことを思いながら、薫は密かに深呼吸する。
お願い、とは言ったけれど、遥は積極的なタイプじゃないし、自分が世話やきすぎるだけかもしれない。
何より、今から頼もうとすることを、遥が喜ぶとも思えない。

(嫌われる、かもなー)

吹き抜けから見える薄灰色の空を見上げて苦笑すると、遥に見えないところで百面相をしていた薫は、意を決したように顔を横に向けた。
/110ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ