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あい、見えます。
第4章 見落とさないで
「でね。お願いしたいことを話す前に、……昨日、私、遥にメールを送ったんだけど」

薫が神妙な顔で話すも、プチトマトをつまんだ遥は「あぁ」と頷きながら笑顔で口を開く。

「12時近くに送ってくれたやつでしょ?」
「そう。……もしかして、見た?」
「うぅん。昨日、薫のメールが来るまで仕事の続きしてたから、今日、話してくれるだろうって思って、まだ見てないの。ごめんね」
「あー、いいの。うん、いいんだ。そうなの。今日ね、話そうと思ってたから」

その口調に、微笑んでいた遥が、ふっと真面目な表情になると、薫に顔を向けた。

「何? また、何かにハマったとかじゃ、ないの?」

いつもと違う歯切れの悪いトーンの薫に気付いたらしく、眉が僅かに寄っている。
首を傾げたせいで、長い黒髪が柔らかく揺れた。
濁りの無い瞳に、心の中を覗かれているような感覚に、薫は「んー」と曖昧なトーンで鼻をならす。

「ハマってるのは…、多分、私じゃないっていうか…」
「え?」
「あー、いや。違うの。待って。ちゃんと話す」

両手を動かして自分を落ち着かせた薫は、一度、会話を止めると、ふぅ、と息を吐く。





きょとんとしたままの遥の顔を見つめてから、小さく息を吸って、彼女は口を開いた。





「あのね。遥の部屋の、隣に住んでる人って、知り合い?」




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