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真夜中の贈り物
第8章 クレヴァスガーデンの淫らな花壇 前編
 抵抗の意思も失せ、裸体をだらしなく弛緩したまま、キオは甘い吐息を吐く事しかできなくなっていた。

 その頭上に再び立ち、ジャガマルは言った。

「我こそは庭師のシノビ……庭忍(ニワシノビ)! 我がニンジャガーデンに迷い込んだとき、お主はすでに敗北しておったのじゃが!」

 と、そのとき!

 勝ち誇るカエル忍者目掛けて放たれた一条の閃く光が、カエルその体を撃ち抜いた。

 ……か、に見えたのだが。

「なっ……なに奴じゃがっ!」

 かろうしで跳ね逃げたジャガマルが、避難先の岩壁の上から地上に誰何する。

「花を世話する者が必ずしも花のように美しいとは限らない…‥それは存じておりましたけれど」

 生い茂る緑の森の陰の中から涼やかな女の声。

「……とはいえ、その心まで醜ければ庭師の資格などありませんわ!」

 大きな草葉をかきわけて、現れたのはエヌフィーヌだった。

 女魔法使いは怒りに燃えるまなざしと共に、優雅に構えた杖の先でジャガマルをピタリと指した。

「私のパートナーへの狼藉……許しませんことよ!」





(後編へつづく)
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