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真夜中の贈り物
第1章 真夜中の秘密訓練
「さあ、ここで脱いでごらん……ケイ」

 優しい口調で所長が囁く。
 違った、所長ではなくてご主人様……そう呼ばなきゃ。
 たとえ心の中ででも。

 もうだいぶ慣れたはずなのに、つい忘れてしまう。

 でも……しかたないよ。
 だって、だって……ここは。

 いつもの研究所内ではないのだから。
 潜水都市の居住区のはずれ。

 星や月の明かりがない殺風景な公園を照らすのは、そばに一本だけ立つ街頭と言うにはあまりにも飾り気のない、照明灯の青白い光。

 地上であれば当たり前の様に飛び交うであろう羽虫の姿さえない、寂しい風景。
 かつての生活、気にも留めていなかったなんでもないこと、その全てが懐かしい。

 思わず涙ぐんでしまった私を見て、所長が再び声をかける。

「どうしたね……? 気分がすぐれないのなら、訓練はやめにしようか」
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