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真夜中の贈り物
第15章 薔薇のひとつ

   ※   ※   ※

 ノヴァリスを助け出したのは、一緒に捕えられていた部下の兵士たちだった。

「奴ら、突然いなくなって……」

 兵士たちが言うには、見張りの者も残さずに野盗たちは姿を消し、それでなんとか拘束を解いてノヴァリスの監禁されていた部屋の扉を叩き破ったという事だった。

 窮地を脱した仲間たちと共に王都へと帰還すると、どういう事が起きたのかがわかった。

 争いの痕が生々しく残された町並み。
 瓦礫の破片や、投石で割れた窓のガラスなどが散らばる路上。

 まだ不安そうな面持ちの人々から、野盗共が一部の市民を引き連れて兵舎を襲ったということを聞いた。

 首謀者のフェリックスは捕えられたか、殺されたか……その消息までは不明であったが。

 いずれにせよ、彼の叛乱の蜂起は失敗に終わったのだ。

 ノヴァリスたちが兵舎に辿り着いた時には、打ち壊された塀や血しぶきの黒々と残る地面にその名残だけを留めて、騒乱は鎮圧されていた。
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