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真夜中の贈り物
第3章 教官は世界の果ての 後篇
「フン! 教官としてあなたのスケジュール決定権は私にあるんですからね……特訓浸けにしてやるから覚悟なさい! 私の沽券にかけても……」

「太陽クン、はい、コーヒー」

 ユリカさんが湯気を立てている紙コップを渡してくれる。
 俺はハルカを無視して、生きて帰ったからこそ味わえる、その苦い液体をすすった。

「ユリカさん、このデータって……」
「そうね……」

 二人は俺を休ませ、回収されたヴァギナスの動作データについて検討しはじめた。

 そうさ。それは俺の仕事じゃない。
 俺はパイロット。

 出撃して、戦い、敵を倒して、みんなを守る。
 それが俺の貢献の仕方だ。

「ほら、ココ……」
「じゃあやっぱり……この数値が」

 興味深いデータが取れているのだろうが、俺には関係のないことだ。

「それじゃあ……」

「開発を急ぐ必要はあるわね」

「ユリカさん、エネマグラって調達できますか?」

「そうね、関係部門に問い合わせておきましょう」

「あっ、私、センターの知り合いがいるからついでに……」

 何を開発するのだろう? 新兵器でも調達するのか?

 ややこしい話や専門用語は聞いてもどうせわからない。
 任せておこう。俺には関係ない。

 今はただ……。

 俺はゆっくりと目を閉じた。

 世界の果てで瞑想する賢者のように。





《教官は世界の果ての》
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