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恋花火
第18章 彼のROOTS
陸先輩に手を引かれ歩く街は、全てが優しい景色に見えた。


朝までビービー泣いてたのはどこのどいつだってくらい、穏やかな気持ち。


ぐ〜きゅきゅきゅ〜


私のお腹の音を聞いて、先輩がまた吹き出して笑う。


「お好み焼き、好き?」

「はい、とっても!」

「即答だ 笑」

「粉物系は大好きです。」

「昼からイケる?」

「余裕です!!」


やった〜


お好み焼き大好き〜


あ!!でも制服でお店って入れるの?補導とかされちゃったりしないかな!?


私達はもうすぐ大会もあるので、変に不祥事起こしたくない…どうしよう。


ゴチャゴチャ考えているうちに、お好み焼きの店に着いてしまった。


「大丈夫、誰もいないから。」


百面相な私の表情から読み取ったのだろう。


陸先輩はそう言うと、お好み焼きの店のドアを開けた。


中は先輩の言うとおり誰もいなくて、6台の鉄板がズラッと並んでいた。


カウンターには大きな鉄板があって、その奥の厨房にはお皿やコップがいくつも綺麗に並んでいた。


キョロキョロしていると、先輩はおもむろに厨房にあった冷蔵庫を開け始める。


「陸先輩!?」

「ここ、俺んちなんだ。」

「え!!」

「だから俺が作るよ。」


任せといて、そう言って笑うと、陸先輩は制服の上を脱いだ。


「メニュー見て、なにがいい?」

「うーんとうーんと……基本の豚玉もいいけど…海鮮お好み焼きも美味しそう〜どうしよ迷う〜…あ!これがいいです。」


悩んだ挙句、明太子もちチーズベビースタースペシャルってやつを指さすと、先輩はククッと笑った。


もしかして、欲張りな奴だって思われたかな?


でもそれが一番ビビビときたの。


先輩は手際よく野菜切ったり混ぜたりして、鮮やかな手つきであっという間にお好み焼きの種を鉄板に広げ、ひっくり返した時のドヤ顔には、思わず笑ってしまった。



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