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恋花火
第20章 眠れNIGHT
タケルがくれたボロボロのタオルは本当に使いやすい。


私の涙も鼻水も、たくさん吸収してくれる。


「あらー!タケル君!なっちゃんとケンカ!?」


あらあらどうしたのーって、近所の人が話しかけてくる……


「なんか俺悪者みたいだから、ちょっと向こう行こ。」って、向かったのは星空公園のロケットの中。


そういえばここの公園には、タケルとしょっちゅう来ていた。


近くの海もそうだし、タケルとは色んな場所に行った。


それは楽しむためというよりはむしろ、悲しいことがあった時。辛いことがあった時。


タケルはこうして連れ出してくれた。


「ここ、こんなに狭かったっけー」


久しぶりに入ったロケットの中は、ものすごく狭く感じた。


昔はとっても広く感じてたのに。


「せまっ」


座らなきゃ無理なくらい天井も低い。


「ぎゃーやだくっつきすぎだから!」

「やだってひでぇな。変わったなおまえも。」

「だって……」

「大丈夫。変なことしねーよ。菜月に彼氏いんのに変なことするわけねーし。」


変わったのはむしろタケルじゃない?


そんな気遣い出来るようになったんだ……


「なのになんで茜先輩のことは気遣ってあげられないの?」

「え?」

「茜先輩のこと繋ぎとめておかなきゃ…離れてくよ?タケルはそれでいいの?」


涙ながらに訴えると、タケルはまた笑った。


「俺のことは心配しなくていいから、陸先輩のことだけ考えれば?」

「どういうこと?」

「周りになんだかんだ言われても、陸先輩のことだけ信じればいい。」


久しぶりに話して、やっぱりタケルは変わったと思った。


前のタケルなら、"しらねー"とか、"そんなんなら別れれば"とか言うのに。


中学の時に付き合ってたリョウ先輩のことは、ボロクソに言っていたのに……。




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