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恋花火
第8章 恋のイロハ
「先輩、こっち来て」


タケルの声にハッとして我にかえる。


「なぁに?タケルくん。きゃっ…」


タケルは茜先輩の腕を引いて、ベッドに押し倒した。


そして私がいるのに、まるでいないかのように…


「んんっ」


茜先輩にキスをした。


「はぁっ…タケルくん…?」


それはそれは激しいもので


タケルは、まるで噛みつくようにキスをした。


「…先輩、こんなんじゃ足りないでしょ?」


茜先輩は、もういい、という感じでタケルを制止するものの、タケルは止まらない。


私はたまらずに部屋を飛び出した。


「…うぅっ、う〜…」


歩いていると、込み上げてくる涙。


苦しくて思わず泣き声まで出てしまう。


…見たくなかった。


タケルにとってはなんでもないことかもしれない。


けれど私は…


タケルとするキスは特別だった。


もちろん、SEXだって特別だった。


今、いつもみたいにバカと叫べたらどんなにいいだろう。


だけど私にはもう、そんな元気なんか残ってなかった。
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