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恋花火
第9章 ちっぽけなプライド
あのあと


タケルと一言二言なにか会話をしたけど覚えていない。


気づいたら自分の部屋で、うっすらと明るくなっていく空を眺めていた。


「……はぁ。」


無意識にため息が出てしまう。


あの時の悲しそうなタケルの顔が頭から離れない。





「バッカじゃね!?タケル!!」


部活にて、ゲラゲラと笑っている部員たち。


その中心にはタケルがいて。


……よかった、元気そう。



私は部員たちの練習着を畳みながら、それを眺めていた。


……あ、今日茜先輩お休みかぁ。……嬉しいな。


マネージャーの出席簿に、今日の日付のところにバッテンが書かれてあった。


茜先輩の顔を見ると、自分がとても嫌な子に思えてしまうので辛かった。


ここ最近、自分でも驚くぐらい性格の悪い自身が飛び出す。


もうこんな自分は嫌だ。


だからあの日タケルを傷つけてしまったかもしれないけど、これで良かったんだと言い聞かせた。


時間をかけて、タケルの幸せを願えるようになりたい。


相手は私じゃないけれど


タケルには幸せになってほしい。


…というのが今のタテマエ。


早く本音で、心からそう思えるようになりたい。


「よし、やるぞー!」


気合を入れ直す。


私は私のやるべきことをしっかりこなしていきたいから。


「なーつきちゃーん」


……と、そんなやる気に満ちた私を一気に突き落とす人が……


「ねぇ、タケル君のことで話があるんだけどいいー?」


ユリ先輩のご登場です。
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