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恋花火
第11章 HERO
陸先輩はよほど私の表情がツボに入ったのか、しばらく笑い続けていて そうしているうちに目的の駅へ到着した。


「笑わせてもらったわ〜どうもありがとう。」

「いえ、こちらこそ助けてくれてありがとうございました。しかも二回も…」

「二回?」

「一度目はユリ先輩の時です。…あの時陸先輩が来てくれなかったら、私……」



言葉を濁していたら、陸先輩がまた笑う。


今度は爆笑なんかじゃなくて、優しい笑顔で。


「あの時はね。ほんと偶然だよ。」

「それでも、助かりました。」

「まるでヒーローみたいだった?」


陸先輩はきっと冗談で言ったのだけれど、私にとっては本当にヒーローのように二度も助けてもらったので「そうですね。」と答えると……


今度は照れている。はにかみ笑いに思わずキュンとする。


今日は普段見れない陸先輩の顔がたくさん飛び出すなぁ。


部活中は怖いけど、本当は優しい人なんだと思った。


「じゃー放課後部活でね。」


学校の正面玄関で別れ、陸先輩は二年生の教室がある方へと歩いて行き、その後ろ姿を思わず見つめてしまう。


笑顔が可愛いということも、タケルと同じくらい背が高いということも、今日初めて知った。


「なにー二人で仲良く登校しちゃって〜」

「げっ 見てたの!?」


どこからともなく美波が現れた。
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