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恋花火
第15章 虹色の放課後
タケルが茜先輩を好きだと言うのなら、それを応援してあげようじゃないか。


恋人と長く続かないタケルが首ったけになっているのだから


きっと茜先輩は良い人に間違いないと思える。


私が言うのもなんですが……いや、私だから言うんだけど


タケルは全然レディファーストなんかじゃないし、素敵ジェントルマンでもない。


口は悪いし手は早い(あらゆる意味で)


そして目つきも悪いときた。


恋人よりも友達を優先しちゃうし、愛の言葉だって、囁くのだろうか?


そんなタケルだから私は好きで……


いや


好き、だった。


もう私には陸先輩がいてくれるから


過去形だよ。


「菜月ちゃん?どうしたの?ここ、わかった?」

「あっ、すいません!今の所もう一度教えてください……」

「ふふ、ぼんやりしちゃって。可愛い〜」


……ほら、こうやって、茜先輩はきっとタケルの事も包み込んでくれているんだと思う。


「……茜先輩」

「ん?なぁに?」


タケルは今まで、女の子と続かなかった。


けれど本当は寂しがり屋のタケル。


そこをわかってくれる女の子が今までいなかっただけなのかもしれない。


きっと、茜先輩なら……


「……幸せになってください。」


やっと言えた。


本当はずっと言いたかったけど、言えなくて。


私は今日、ようやく現実を受け入れることができたみたい。


タケルと茜先輩のことを、心からおめでとうと思える日が来るなんて。


私からの祝福のメッセージは、あまりにもいきなり過ぎたせいか、茜先輩は力なく笑った。


……そりゃそうだ。


勉強会の真っ最中に、教えてもらってるくせに上の空で、なにを言い出すかと思えばトンチンカンなセリフを吐く私。


そもそも今日は、これが目的じゃなくて、ユリ先輩と茜先輩のわだかまりを解いちゃおう!って予定だったのに……。


ひとり悶々としていると、うははって、また大爆笑する声が聞こえる。

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