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第2章 始動

翌朝、目覚ましもかけずにベッドでまどろんでいた。
休息を求めていた体は貪欲に睡眠を欲していたのだろうか、時計を見るともう12時を回っていた。

いつもなら、休日でも職場からかかってくるかもしれない電話に対応するために早起きをしていた。
けれど、今日だけは、自分を甘やかす。

寝過ぎて重たい体をなんとか起こし、シャワーを浴びる。
そのまま遅い昼食をとると、さっそく友香は準備を始めた。

トートバッグにTシャツとパンツを入れ、タオルをしまい。
それだけで何かが漲ってくる。

長期休暇をとるとわかると、口を揃えて海外にでも行くのかと聞かれた。
曖昧にその言葉をかわしながら、友香は家から少し離れたジムの申込書を準備していたのだ。

旅行は、自分へのご褒美。
だけどそれはまだ早い。
まずは昔の自分を取り戻す。

取り戻せたなら、その時が本当のご褒美だ。

友香は汗をかくだろうと化粧もせず、腰まで伸びた髪を結って気合いを入れた。