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第3章 変化
綾瀬が連れてきてくれたのは、カフェとバーの中間のような洋食の店だった。
大きな黒板には所狭しとメニューが書いてあるが、英語ではないそのメニューには何が書いてあるのか誰にもわからない。
結局客は手元のメニューを覗き込むのだ。

「せっかくだから、乾杯しよう」

その言葉を素直に受け止め、ワイングラスを手に取る。
綾瀬と一緒なら、飲みすぎることも食べ過ぎることもないだろう。
友香の努力を誰よりも知っているのだ。
思っていた通り、ここはトマト料理がおいしいんだよ、と頼んでくれた料理はどれも様々な野菜で色鮮やかだ。

ビールとは違い、アルコール度数の高いワインはすぐに友香の体を火照らせる。
上気したその顔を、綾瀬は眩しそうに見つめた。

「友香ちゃん、お酒好きな割に酔いやすい?」
「酔うっていうか、すぐに顔に出ちゃうんです。まだまだ飲めますよ?」
「はは、赤くなるのは健康な証拠だ」

その言葉に顔を抑える。

いつもよりも、熱い。

「どうぞ」

さらに注がれるキラキラと輝くワイン。

「あれ?いつの間に?」

さっきまでの白ワインはとうに飲み干していたらしい。
気がつけば友香の上気した顔のように、そのワインはほのかにピンクに染まっていた。

そのワインも空になった頃には、日に焼けた綾瀬の顔もわずかにワイン色に染まっていた。

「んー、さすがに飲みすぎました」

ふわふわとした体の感覚。
二人で2本。
どう考えてもセーブできていない。
大半は綾瀬のお腹に納まったのだけれど、それでも酔いは回ってる。

「友香ちゃん、やっぱりお酒弱いね。そんな感じで、先々週の土曜日も飲みすぎたの?」

綾瀬の言葉に、友香は酔いが覚めるのを感じた。
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