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初音さんの二十日間
第2章 14年後のマシュマロちゃん
「ホントにお腹すいてないの?」

「うん、駅弁萌えしてつい食っちゃったから」

「なんじゃそりゃ」

我が家のリビングに落ち着いてもまだ、再会の驚きが抜けずにいた。

白くてぷくぷくした手脚はすくすくと長く真っ直ぐに伸び、まん丸かったぽちゃぽちゃほっぺは削ぎ落とされて、顎に向かい鋭角なシルエットを作っている。

この子ホントにあのマシュマロちゃん?

「なんすか?」

「いやー、成長したねぇ、キミ」

「小さい頃の俺、チビでデブだったっすもんね」

形のいい鼻の上に乗ったメガネの奥に、照れたような色が浮かんだ。

「白くて丸くて、可愛かったのにー。どうすればこんな細長く育つんだか」

「14年経てば嫌でも成長しますって」

「14年かぁ…」

すくすく育ち終わっていた、からの14年後の私は、成長とはどう転んでも言い難い、劣化という名の変化が始まっている。

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