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純の恋人
第2章 三人の男
 
「二人とも、いい加減にしろ! ここは病院だぞ、騒ぐだけなら外でやれ!!」

「けど、翔さん……」

「――悪かった、翔。それに純も」

 どうやら三人は、全員知り合いらしい。金髪ピアスとチャラそうな見た目とは裏腹の冷静な言葉に、他の二人は口をつぐむ。それを見て頷くと、金髪の彼は私に優しく声を掛けた。

「混乱している時期なのに、ごめん。でも、俺も混乱させる事を言わなきゃならない。俺が、純の本当の彼氏なんだ」

 その言葉に、つなぎの彼がまた声を荒げる。

「は? 翔さんまで何言ってるんスか!?」

「だから静かにしろって。誰が嘘つきで、誰が本物かは、記憶が戻ったらはっきりする事だろ」

 つなぎの彼を咎めると、金髪の彼は再び私に目を向ける。記憶の欠けた私でも、その視線が恋慕だという事は分かった。

「もう一回、自己紹介しておくよ。俺は田中 翔。純の、恋人だ」

 するとつなぎの彼は割り込み、自分の顔を指差して話す。

「俺は宮城 昌哉。本当の彼氏は俺だから」

 そして彼に便乗して、スーツの彼も私に名乗りをあげる。

「僕は松永 雅樹。純の記憶が早く戻る事を、祈ってるよ」
 
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