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純の恋人
第7章 真実の破片
 
「まさか、若頭さんの組なんですか!?」

「協力していただけるなら、彼と話し合う機会を設けましょう。もちろんあなたが襲われないように、その場には僕も同行します。悪い話ではないでしょう?」

 田中さんから話が聞ければ、マスカレードについても、ストーカーについても情報が得られる。国重さんは烈火のごとく怒るだろうけれど、乗るだけの価値はありそうな話だ。

 問題があるとすれば、私にずっと一文字組の繋がりが出来てしまう事と、未来が限定されてしまう事。記憶が戻れば歌に抵抗はなくなるだろうけれど、正直今の私に歌を生業とする未来は描けなかった。

「もし、万が一私がアンジュじゃなかったら、どうなりますか?」

「活動再開の件は白紙ですね。しかし、だからといって報復する気はないのでご安心を。狩野組の資金源を潰す大義を得られた時点で、僕には利益があるのですから。まあ田中 翔については、サービスだと思ってください」

 初めに国重さんを退席させたのは、多分取引のためなんだろう。若頭は、親切で私を助けているんじゃない。私に……私の立場や声に、利用価値があるから囲おうとしているだけだ。
 
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