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純の恋人
第9章 彼の本性
 
 晴久さんが、強姦魔。彼の中では恋人同士かもしれないけれど、私の記憶の中では恐怖と屈辱しかない。体が震え、頭が真っ白になった。

「純ちゃん、自分が他の人にも抱かれたって気にしてたけど、ホントに気にしなくていいんだよ? 純ちゃんは、初めてをオレのために取っててくれた。ちゃんと純ちゃんの処女は、オレが貰ってたんだから」

「な……なんで、私を轢いたんですか! そんな事した挙げ句、殺すつもりだったんですか!?」

「殺すつもりなんかないよ。目を離した隙に、いつの間にか純ちゃんがいなくなってたから、探してもらっただけ。それと、うちの病院にいれば、純ちゃんを見失う事もないでしょ? だからついでに、病院へ来てもらうよう手配してもらったんだ」

「だからって……そんな、おかしいです!」

「うん、まさか車で轢くとは思ってなかったから、オレもびっくりしたよ。しかも、その影響で記憶まで失って、オレの事もマスカレードの連中の事も忘れちゃうし」

 私が何に叫んでいるのか理解せず、晴久さんは淡々と続ける。怖い、逃げたい、そんな意識が頭を支配するのに、手首を縛る縄がそれを許さない。
 
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