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純の恋人
第9章 彼の本性
 
「でもさ、オレ思った訳。もし純ちゃんがまっさらな記憶であいつらとオレに会ったら、誰を選ぶんだろうって。ほら、出会った時期だけは、どうしようもないじゃん? でも記憶がなくなったなら、どいつもスタートラインは一緒じゃん。それなら純ちゃんはどうするかなって」

「だから……私を、騙したんですか」

「だからそれはごめんって。でも純ちゃんは、ちゃんとオレを選んでくれたじゃん。時間とか記憶とか関係なく、純ちゃんはオレが好きなんでしょ? 嬉しかったよ」

 違う、私がマスカレードの三人に不信を抱いたのは、三人が私の過去を含めてぶつかってきたからだ。そもそも過去を隠して、何もかも誤魔化して近付いてきた人とは、土俵が違う。

「なのに……明らかにオレより後から現れた奴とも仲良くして、純ちゃんはどうしたいの? オレのものになるって言ったのに」

 晴久さんは私の髪をぐしゃりと掴むと、瞳に怒りを浮かべて見下ろす。

「あの変な奴らとも、ヤったの?」

 私は身を竦ませながら、やっとの思いで首を横に振る。すると晴久さんは私の髪を離し、笑顔を見せた。
 
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