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言われてみれば、単純で。
第1章 おれのきもちはフクザツで。
面倒だと思ったけど、なかなか決まらないと部活にいけそうになかったので委員会選抜のHRで俺は体育委員を立候補した。
新学期早々から部活遅刻なんて嫌だったから。

今思えばそんな単純な理由でなんとなくだったこの行為が此処まで自分を変えるとは知らないでいた。


体育委員会。面倒だと思ってた。早く終わって部活に行こう。
そんな事ばっかり考えて、ふと窓際を見ると俺の隣に見知らぬ女の子が座ってきた。

委員会で使うこの教室には席はあまりない。席が多いと皆後ろに座るからだと聞いたことがある。
寂しい事に俺の隣の席は最後の一席。

彼女は走ってきたのか、息を調えるかのように肩で呼吸していた。

彼女の様子が妙に気になってしまった。
リボンの色を見る限り、彼女は俺のひとつ下、2年生なのだろう。
思わず彼女に声を掛けた。


「ね、名前。何ていうの?」

「え? 藤崎です」

「下の名前は?」

「キョー」

「藤崎キョー?
 じゃあキョーちゃんだね」

「俺はね、丹羽イツキ」

「はあ、そうですか」

「よろしくね」

彼女は不審そうな顔をして俺の握手に応じた。
俺は背が低いほうで、手も小さいけどそれよりもっと小さな手をしていた。
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