この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ハルにサク花
第2章 第1話
タッタッ……ドンッ…ドサァ…
私の抱えていた本が床に散乱する
「あっ…ご、ごめんっ!」
「…大丈夫」
そうつぶやくように言い、私は無言で本を拾った
「本当ごめんな、怪我なかった?」
本を拾いあげる申し訳なさそうな顔が目の前にあった
私は反射的に距離をとる
「えぇ」
「はい」
差し出された本を無言で受け取る
「あ、お詫びにそれ持つよ」
笑顔で手を差し延べられる
私は嫌悪感を抱いた
「いい、持てるから」
くるりと向きを変え、その場を去ろうとする
すると、後ろから大きな声がした
「同じ学年だよねっ!?名前はー?」
「…橘」
「橘かっ!俺は北沢時雨!今度絶対お詫びするからっ!約束なっ!」
返事をせず、私は再び歩き出した