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ただ一つの一対
第10章 あとがき
 
 突発的に、よし書こう! と思い、勢いのまま二ヶ月過ぎ。ようやく完結いたしました。

 『女は抱かれて刀になる』のスピンオフ、と言いますか、向こうではラスボスだった菊さんのその後を描いた作品ですが、テーマは『女の復讐劇』です。男の復讐と見せかけておいて、女のお話でした。

 作中には菊を愛する二人の女、菖蒲と片倉が登場します。菖蒲はひたすら真っ直ぐ、子どもほど無神経ではありませんが大人ほど物分かりのいい訳ではない、菊にとってまさに必要な一歩を踏み出せる子であります。

 一方の片倉は、菊をたびたび嫌味でおちょくりながらも、最終的には菊にべったりな女性です。彼女が最後に菖蒲へ残した言葉は本音か、それとも復讐のための巧妙な嘘か――まあそれは読者様の想像次第ですが、とにかく菊が一番である人でした。

 作者としては、片倉が本妻で菖蒲が妾だったら丸く収まったのになぁ……と思います。片倉は自分が一番であれば、二番、三番は許せる人です。逆に菖蒲は、自分が一番でなくとも、欠片でも愛されれば満足しちゃうタイプです。ですが菊が惚れたのは菖蒲ですから、こればかりはどうしようもない。人の愛って難しいなぁ……と、自分で書きながら思いました。

 人を殺すシーン、しかも思い入れのないモブではなくメインキャラがメインキャラを殺すというのは、中々覚悟のいるものでした。しかしラストで菊が片倉の感触を両手に感じなければ意味がない、と思い、銃ではなく直接手を下しました。

 その他にも、とにかく菊さんがボコボコにされたりと流血シーンがありましたが、大人の、極道のお話なので容赦なくやり切りました。ハードな展開に重ーくなりましたが、まあ作者としてはきちんと最後まで書けてよかったなと思います。

 さて、次のページからはちょっとオマケとしまして、その後の菊さんと菖蒲のSSを載せていこうと思います。こちらは痛い話はないので、軽く読んでいただけたらと思います。

 とはいえ、本編はこれにて了です。ここまで読んでくださって、本当にありがとうごさいました!
 
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