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第13章 動揺 -理香side-
半沢さんのムスクと煙草の匂いに包まれる。

「半沢さん?」
…腕の中から抜け出そうと抵抗してみるも、さらに強く抱き締められる。

「理香、俺じゃダメなの?」
どんな顔をしているかはわからないが、頭の上から半沢さんのいつもより低い声が聞こえる。

「ずっと好きだった」

「半沢さ───」

言葉を遮るように、私の唇を半沢さんが塞ぐ。
唇の隙間から舌が差し込まれ、口内を這い回る。

「んっ!」
息が出来ないくらい激しいキス。
唇が離れ、半沢さんの瞳に私が映る。


「悪い…。俺、外で頭を冷やしてくるから、その間に帰れ。後は、俺がやっとくから」
半沢さんの腕が緩み、身体が離れる。

「明日には、ちゃんと事務所の先輩に戻っとくから。
幸せになれよ?」
そう言い残して、事務所から出て行った。

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