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月 ~優香~
第25章 嘘 〜健一〜
出発の前日。

ソファーに座りテレビを見ていた俺の背中から、晃が声をかけてきた。


「健一。俺と理緒付き合うことになった。。。。」



俺は、振り向かなかった。

晃も俺の気持ちに気付かないわけがない。



「理緒泣かせるようなことしないから。。。ごめんな。健一。気をつけて行って来いよ。」


そういうと、自分の部屋へ帰って行った。

頬に涙が伝って、ぽつぽつとTシャツを濡らしていた。

俺は声も出さずに泣いた。

理緒に振られた時は、悲しいとも感じなかったのに、

なぜか晃の一言は、胸を刺すように痛かった。



テレビでは、お笑いコンビが、面白くないネタをガヤガヤと続けていた。

翌日、皆に見送られ、アメリカへ立った。

晃と理緒は、手を繋ぐでもなく、寄り添うでもなく、微妙な距離で俺の門出を見送っていた。



1年というアメリカでの月日は、幸いだった。

晃と理緒が寄り添う姿を見なくていい。

それなりに勉強し、それなりに遊び、理緒の面影を忘れかけたころ、一年が過ぎた。





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